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審判員のルール
ボクシングの試合で優勢・劣勢の経過を審査したり、反則の有無を判断したりする審判にも、一定のルールが定められています。そのルールはアマチュアでは厳格に定められ、プロでは団体などによって異なるなど、他のルールと同様にアマチュアとプロで若干の違いはありますが、審判を務めることができる資格やそのランク、服装などにはそれぞれで細かなルールが設定されています。
ボクシングは競技ルールが厳しいため、審判が果たす役割はアマチュアとプロを問わず大きなものです。なお審判は、ボクサーと並んでリングに上る1人を主審またはレフェリー(または「レフリー」など)と称し、その補佐をする審判を副審などと呼びます。これらの分類や判定にかかわる採点方法などについても詳しくご紹介します。
アマチュア 審判の資格

アマチュアボクシングにおける審判は、単なる「ボクシング好き」では務まりません。多くのスポーツ審判がそうであるように、アマチュアボクシングの場合でも審判の資格を取得する必要があります。この資格を取得するための試験は年に1回程度行なわれており、ルール全般についての筆記試験に加えて、試験会場で実際にレフェリー業務を行なう実技試験の結果で合否が確定します。また受験資格として、各都道府県にあるボクシング連盟において役員登録をしている必要がありますが、ボクシングの競技経験は特に問われません。
なおアマチュアの試合では審判に対する報酬は支払われず、交通費程度の経費が支給されるのみと言うのが一般的です(国際的なアマチュアボクシングの場合は別です)。
アマチュア 審判のランク

アマチュアボクシングの試合で審判を務めることができる資格には、A~C級、及びジャッジ・レフェリーの合計6種類があります。はじめてアマチュアボクシング審判員の資格を取得した場合には「C級ジャッジ」からスタートになります。ジャッジとはレフェリー(主審)を補佐する審判員のことです。C級ジャッジで1年以上の経験を積むとC級レフェリー・ジャッジ資格試験の受験資格が与えられ、試験に合格すれば「C級レフェリー・ジャッジ」の資格を得ることができます。こうしてさらに経験を積んで「B級ジャッジ」、「B級レフェリー・ジャッジ」と資格を重ねていき、最終的には「A級ジャッジ」、「A級レフェリー・ジャッジ」の資格を得ることができます。
C級では都道府県内で行なわれる大会、B級では各地方大会、そしてA級では全国大会までのアマチュアボクシングで審判員として活躍できるようになります。
なお国際試合の審判を務める場合には、A級を取得したあとに世界ボクシング連盟(AIBA)が定める審判試験に合格する必要があります。
アマチュア 主審と副審の違い

ボクシングのリングで選手と共にリングへ上がり、競技規則で定められているルールに則って試合を統括する審判を特に「レフェリー」または「レフリー」などと呼びます。このレフェリーが主審であり、試合を止める権限を有します。
また主審(レフェリー)を補佐する役割で配置されるのが副審であり、ボクシングの場合は「ジャッジ」と呼びます。ジャッジの役割は基本的に採点ですが、レフェリーから意見を求められた場合などには意見を述べることが許されます。
基本的にはボクシングの試合ではレフェリーの権限が強く、リング上で行なわれた反則行為を見極めて注意を行なうことや、悪質なボクサーに対し失格を言い渡す役目を持っています。
アマチュアの試合では副審であるジャッジは3人が配置され、国際大会など規模の大きな大会の場合には5人が配置されるのが一般的です。
アマチュア 服装

アマチュアボクシングの審判員には、その服装についても規定があります。リングに上るレフェリーは原則的に白の長袖シャツと白のスラックスを着用することが義務付けられており、これはボクサーの出血などにより血が飛び散ったときなどに、素早くそれを発見するために定められています。なおリングには登らない副審(ジャッジ)は、スーツの着用が義務付けられていますが、細かなスーツの種類などについては特に規定がありません。大きな大会の場合はジャッジ全員が共通のスーツとネクタイを着用している場合があります。
なお審判員は胸にワッペンを装着しており、金銀青の3色で「REFEREE(レフェリー)」または「JUDGE(ジャッジ)」と記されています。金色の場合は審判資格のA級を持っていることを示し、銀の場合はB級、青の場合はC級であることを表しています。
アマチュア 採点

アマチュアの試合において、ノックアウトなどで勝敗が決まらず、全ラウンドを終了した場合には採点による判定で勝敗が決します。その採点を行なうのがジャッジと呼ばれる副審です。大きな大会ではジャッジが5名おり、その5名が操作するコンピュータにより採点が行なわれます。ジャッジは試合経過を見ながら有効打を判断してコンピュータを操作し、5名中3名以上が有効打だと判断した場合には攻撃側に1ポイントが与えられます。全ラウンドを通してこの採点方法が取られ、多くのポイントを獲得した選手が勝者になります。
なおそれ程大きな大会ではない場合は、ジャッジペーパーと呼ばれる専用用紙を用いて各ジャッジが記入し、その集計によって勝敗が決まります。
プロ 審判の資格

プロのボクシングで審判を務めることができる資格は、アマチュアのようにハッキリとしたものがある訳ではなく、各委員会(コミッション、日本ボクシングコミッションなど)の認定によって審判として活動できる許可が与えられることになっています。コミッションは誰でも認定する訳ではありませんので、自然な流れとしてはアマチュアの審判員として一定期間以上の活躍をした審判員に限り、コミッションによりプロボクシングの審判を務めても良いと判断されるケースが多いようです。
なおWBA、WBCなどのような世界タイトル戦を開催できる主要4団体から審判員認定を受けることができれば、概ね世界タイトル戦などでの審判を務めることが可能になります。実績を積むことでプロのリングでも審判を務められるようになるという訳です。
プロ 審判の条件

プロのボクシングで審判として活躍するためには、コミッションによる認定が必要となります。そしてコミッションから認定を受けるためにはボクシングの審判としてふさわしい知識と人格を持ち、また審判としての実績が積まれていることも挙げられます。こうした資格としての条件に加えて、もうひとつ重要な条件があります。
それは金銭面です。華やかなプロのリングであっても審判に与えられる報酬は雀の涙と言われており、ボランティアに近い形で行なわれているのが一般的です。そのためプロのリングで活躍する審判員であっても、ほとんどは副業のような形で審判を担っている場合がほとんどです。
これは審判を務めることで無闇に高い報酬を得られる場合、コミッションの意向に沿った不公平な判定をしてしまう可能性を抑える効果もあると言われています。ともあれプロのリングで審判を務める審判には、「ボクシングが好き」と言った嗜好性も求められていると言えます。
プロ 主審と副審の違い

アマチュアの場合と同様に、プロのボクシングを司る審判も主審と副審に分類されています。主審はレフェリーまたはレフリーと呼ばれるもので、ボクサーと同じようにリングに上り、試合におけるノックダウンや反則行為を見極め、試合の流れを統括する役割を担います。一方の副審はジャッジと呼ばれ、アマチュアと同様に試合経過を観察し、採点を行なっています。副審の人数は試合の規模などによってまちまちですが、規模の大きな世界タイトルマッチなどの場合には、3名のジャッジが採点を行なうことが多いようです。なおプロボクシングの場合には主審も副審に混じって採点を行なう場合がありますが、規模の大きなタイトルマッチの場合では主審は試合の管理運営に集中し、採点には加わらないことが多いようです。
プロ 服装

アマチュアボクシングの場合における流血を即座に発見する目的で主審(レフェリー)には上下とも白の衣服を着用することが定められていますが、プロの場合は特にこれといったルールは定められていません。一般的には白のシャツと黒のスラックスを着用することが多く、テレビなどで目にするレフェリーはほとんどがこの格好をしています。
アマチュアの場合は流血すると即座に試合をストップさせることが多い反面、プロの場合は流血してもリングドクターの許可が降りれば試合を継続することが多く、流血そのものが大きな問題になることはあまりありません。そうした事情からアマチュアボクシングのように流血を発見しやすくするために白い衣服を着用する必要が無くなり、無難でシンプルな服装が好まれるようになっているのだと考えられます。
プロ 採点

プロのボクシングではラウンドごとに3名(主審を含める場合と、そうでない場合があります)のジャッジが「そのラウンドの優劣はどうだった」を判断し、採点を行ないます。基本的にはボクサーお互いが10点満点を持った状態から減点していき、片方が優っていると判断したジャッジは10対9、ダウンかそれに近い状態にある場合は10対8、2度のダウンをした場合には10対7などのように採点していきます。ただしこうした採点方法はボクシング団体などによって若干の違いがあります。
ジャッジ3名が全員片方を優勢だと判断した場合には「ユナニマス・デシジョン」、ジャッジ3人中2名が片方を優勢と判断し、残り1名が引き分けと判断した場合には「マジョリティ・デシジョン」、ジャッジ3名の採点が2対1に別れた場合には「スプリット・デシジョン」と呼びます。こうした採点が全ラウンドを通して行なわれ、最終的に判定で勝負が決まる場合には勝敗を決める基準になります。