体育館情報
ろくぼくについて
漢字では「肋木」と書きます。聞き慣れない単語ですが、学校の体育館や運動場、スポーツセンターに設置しているはしごのような木製(または金属製)器具、と言えば思い当たる方も多いのではないでしょうか。
ろくぼくとは

ろくぼくとは、もともと解剖学に基づいて構成された「スウェーデン体操」のための補助器具であり、日本には明治時代に伝わりました。大正時代になると全国の小学校に広まり、陸軍の軍事訓練にも採用されるようになります。当時はこのろくぼくを使った胸郭を開く運動が結核予防に効果的とされたこともあり、盛んに取り入れられたようです。戦後は教育方針の転換により姿を消したろくぼくですが、1971年に器械運動の1分野として評価されたことをきっかけに、再び小学校の学習指導要領に採用され、今に至ります。
ろくぼくの効果
高さ約2.5mの柱の間に横木を平行に固定し、はしご状にした形状の体操器具「ろくぼく」は屋内の体育施設の壁面に設置されているのが一般的です。昇り降りしたりぶら下がったりといった遊具としての使い方はもちろん、バーの高低差を活用した運動はバリエーション豊かで、トレーニングにも大きな効果を見込めます。
- ①腹筋や背筋を強化する
- ②上腕筋を強化する
- ③腹・背中を柔軟にする
- ④首・胸・体の側面を強化し、柔軟にする
上の①~④で挙げたように、従来の筋力トレーニングのように特定の部位に負荷をかけるのではなく、体の各部位を総合的に刺激できるのはろくぼくの特色と言えます。
ろくぼくトレーニングで
ろくぼくを使った運動の場合、筋力トレーニングや基礎体力の養成、さらに身体矯正の効果も期待できます。具体的に実践可能なトレーニングを紹介してみましょう。なお、これらの運動は事前に準備運動を行ない、運動後はクーリングダウンで筋肉をしっかり休ませることが大事です。また、無理をせず、自分の能力や体力に合った運動に留めておくことも大切です。
四肢を使った運動
昇り降りによって懸垂力、平衡感覚を養い、胸筋などの上体の各筋肉を発達させます。
懸垂運動
鉄棒、つり輪と同様の効果をもたらす運動で、上腕や背部の筋肉に作用します。ただ懸垂するだけでなく、腕のみで下からよじ登って懸垂するといったやり方も効果的です。
倒立運動
腕で体重を支える初歩的な運動です。
腹部・上腕運動
前下屈しながら、または仰臥の姿勢で体前下屈しながら下部を握ります。主に柔軟性を養います。
体側部の運動
「曲げる」「捻じる」「倒す」の三種の運動を行ない、背柱の偏った癖を矯正します。リハビリとしても有効です。
ろくぼくを設置している体育館での注意点
ろくぼくは、子どもにとっては自分の背丈の2倍以上の高さまで登れる上、落下の危険性もある器具です。利用の際は、指導員や保護者がそばにいるようにするか、体育館の床にマットレスを敷いて利用しましょう。
落下によるけがを防ぐため、体育館によっては、使用時以外はろくぼくにチェーンを付けたりカバーを付けたりするなどして、登れないように工夫しているところもあります。