体育館情報
弓道について
弓道とは和弓を用い、的に矢を射る所作を通して平常心や不動心を養う日本古来の武道です。肉体の鍛錬はもちろん、当たり外れや周囲に左右されない精神面の修練にも最適です。古武道の弓術をもとにした様々な流派がありますが、特定の流派に所属することなく取り組む弓道家が大多数と言われています。ひとりでも楽しめる上、スポーツ弓道としての側面も注目され、子どもから年配の方まで幅広く取り組んでいます。
戦の道具から「武道」になるまで

弓の歴史は古く、日本でも石器時代に弓が使われていたと思しき痕跡が残されています。武家が実権を握った鎌倉時代になると、中国の礼の思想と日本の武家思想とが結び付き、儀式としての弓と実践的な武芸としての弓術が普及していきます。鉄砲が登場して以降は戦の道具ではなく、「道」として重んじられるようになっていきます。
近代以降の弓道
大正・昭和に学校教育として採用された弓道ですが、第二次世界大戦終結に伴い、戦時教育を払拭する必要から武道教育は全面禁止となります。再び学校における弓道の実施が許可されたのは1951年のことです。現在は全日本弓道連盟を中心とした新たな理念のもと、スポーツ性も持ち合わせた武道として普及しています。また、その精神性から外国人の関心も高く、海外各地に弓道団体が設立されています。
競技種目
射距離28mの近的、射距離60mの遠的があり、個人競技と団体競技に分かれています。射手は1回に2射(一手)か4射(二手)で的中数を競います。一般の大会では的のどこに当ててもあたりである的中制で、大会によっては得点制、採点性もあります。
弓道の道具
ここでは弓道で必要な用具を紹介します。
弓
長さ221cmが基準で、射手の身長や競技内容によって多少長短があります。上部から約3分の2の位置に握りが付いています。本来は竹弓ですが、昨今は安価なプラスチック製の物も普及しています。
矢
竹製(もしくはジュラルミン、強化プラスチック製の物もある)の矢柄に矢をつがえる筈(はず)、3枚の羽根が付いています。羽根の向きが異なる甲矢と乙矢があり、1組4本です。
弦
天然の麻弦と合成繊維の弦の2種類があります。補強するために、表面にくすね(松脂に油を加えた物)を塗っています。矢をつがえる部分を中仕掛けと言い、麻などを巻いて作ります。
ゆがけ
弓を引く右手に装着する鹿革製の手袋。使用の際は木綿のしたがけを下に着ける。
弓道着
原則として白筒袖、袴、白足袋を着用しますが、男女で若干の違いがあります。女子は胸当てを装着します。
的
直径8cmから1mからの物まであります。星的・霞的・三色的など競技によって異なる的を使用します。
弓道場
体育館などに仮設道場を作る場合もありますが、安全への配慮から原則としては屋内に設置された専用の弓道場で行ないます。近的場と遠的場の2種類があり、射場・矢道・矢取り道・的場(土を持って矢を受け止める場所)で構成されています。
射法について
弓矢で射を行なう際の基本的な八つの動作を「射法八節」と言います。これは一本の矢を射る過程でもあり、最初の足踏みから矢を射たあとの残心(残身)まで終始一貫した動作です。この八節を正確に行なうことで、正しい射、ひいては正確な的中を確実にすることができるのです。
射法八節
射法八節の八つの動作は次の通りです。
- ①足踏み(あしぶみ)
- ②胴作り(どうづくり)
- ③弓構え(ゆがまえ)
- ④打起こし(うちおこし)
- ⑤引分け(ひきわけ)
- ⑥会(かい)
- ⑦離れ(はなれ)
- ⑧残心[残身](ざんしん)
明治神宮武道場至誠館とは
明治神宮武道場至誠館とは、昭和48年に建設された、明治神宮の敷地内にある武道場です。国民の心身を鍛えることを目的としており、月額数千円で弓道を含む様々な武道講座をひらいています。
日本で開催されている弓道の大会とその会場
日本で開催されている弓道の大会とその会場を紹介します。
- 国民体育大会弓道競技会
- 「スポーツの祭典」と呼ばれる日本のスポーツ大会です。弓道競技は近的と遠的があるため、長崎県で開催された際は、近的を島原市霊丘公園体育館で、遠的を島原市霊丘公園特設遠的弓道場で開催しました。
- 全日本弓道大会
- 参加資格は4段以上、大会役員及び競技役員も参加できる大会です。過去に京都のみやこめっせなどで開催されています。
- 全日本男子弓道選手権大会・全日本女子弓道選手権大会
- 弓道日本一を決める大会とも呼ばれている大会で、優勝者には天皇盃や皇后盃が授与されます。開催場所は神宮弓道場です。